取扱製品詳細
チタンの陽極酸化前処理
化学研磨剤を使用したチタンのエッチングならびに陽極酸化前処理のご紹介
チタンは錆びない・ステンレスよりも軽い・機械的強度にすぐれるなどの事から航空機分野・医療分野・建築分野など広く使用されている材料です。
弊社ではこれまで培ってきた化学研磨の技術をチタンにも応用し、チタン用光沢化学研磨剤「クリーンエッチ TCP-08」ならびに、チタン用表面粗化剤「クリーンエッチTCP-25」の用途開発を行っております。
ここでは、その実例をご紹介いたします。
実例
チタンの陽極酸化処理
チタンの酸化被膜(TiO2)は本来無色透明ですが、ある厚みでは酸化被膜を透過した光と反射光による干渉作用によって、さまざまな彩色を得る事が可能です。
この酸化被膜の厚さを電解装置の電圧でコントロールし、チタン表面を目的の色に着色する方法を陽極酸化処理と言います。
メッキや塗装と比べて、チタン本来の機械的物性や耐候性、質感を失わず、剥がれや脱落の無いことが利点です。
陽極酸化の前処理
通常、チタン材表面には経時変化や切削加工などにより酸化被膜がございますので、これを除去ませんと陽極酸化で均一な発色は望めません。
そこで、クリーンエッチにてTCP処理(Titanium Chemical Polishing)をすることで金属表面を清浄化し、最適な表面状態に仕上げることをおすすめしております。
TCP処理は化学研磨ですので、特別な設備も必要なく、浸漬するだけで良好な表面を得ることが可能です。
- クリーンエッチTCP-08
鏡面・光沢研磨、バリ取り用・・・ バフ研磨と酸洗処理の代替として - クリーンエッチTCP-25
梨地・粗化研磨、バリ取り用・・・ ショットブラストと酸洗処理の代替として
陽極酸化の前処理にTCP処理をすることで、均一で安定した発色が可能です。
仕上がりの異なる二つのエッチング液を使用した例
またエッチングレジストを併用し、仕上がりの異なる二つの化学研磨液を使い分けることで、チタン表面に意匠の描画をする事も可能です。
更にその後、陽極酸化処理を行う事でカラーバリエーションに富む製品を作製できます。
応用例として
- チタン製アクセサリー/小物
- チタン製ネームタグ・表札
- チタンを用いた屋根材・サイディング(外壁材)・タイル など
純チタン素材
左 : 未処理
中央: TCP-08 (二倍希釈)酸化膜除去処理
右 : TCP-08 (原液)光輝処理後、陽極酸化
純チタン素材
TCP-08 (原液)光輝処理後、陽極酸化
左より、電圧値
0、 10、20、30、40、60、80 (V)
一般社団法人 表面技術協会の会誌「表面技術」 73巻1号(2023年1月号)の小特集 ~チタン材料の最新動向~にて、弊社より「チタン材の陽極酸化・電解着色(Pages 38-40)」の技術解説を寄稿しました。
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J-STAGE 表面技術 掲載記事のページ